カテゴリ: 高血圧

高血圧の話7

血圧を上昇させる物質として考えられるのは、カルシウムとアンギオテンシンがあります。カルシウムが血管壁に流入すると、緊張が強くなり、結果として血圧が上がることになります。このことから、カルシウムの作用を妨害する、カルシウム拮抗薬というものが高血圧の治療に使われます。また、アンギオテンシンは、腎臓などで生成される物質ですが、アンギオ(血管)テンシン(緊張)の名前の通り、血管を緊張させて血圧を上げる作用があります。この物質の生成を抑制する、ACE阻害薬やARBといった薬が高血圧治療薬として使われます。特にARBは、近年では高血圧治療薬の主力として、よく使われています。

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高血圧の話6

血圧が上がるもう一つの原因として、血管の収縮があげられます。さらに、これには二つ大きな原因がありますが、交感神経の興奮と、血圧上昇物質の増加があげられます。交感神経が興奮することによって、心拍数の増加、血管の収縮が起こり、そのために血圧が上昇するのです。交感神経はα、βという二つの種類があり、両方とも血圧上昇に関連する働きがあります。治療としては、交感神経遮断薬というものを使います。交感神経を遮断することで、血管が拡張する作用が出現し、血圧が降下するわけです。現在は主流ではありませんが、重要な治療薬であり、別な作用の降圧剤との併用で使われることが多い薬です。

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高血圧の話5

高血圧という病気は、体の中でどのようなことが起こっているのでしょうか?まず一つ目は、血管の中を流れる循環量の増加です。要するに、血液を含む体液の量が増えるため、一定の太さ以上に広がることができない血管の内圧が高くなり、高血圧といわれる状態になるのです。具体的には、腎機能の低下や心機能の低下(腎不全・心不全)が起きた場合、尿の排泄量が少なくなり、血圧が高くなる場合が考えられます。このような場合は、循環量を減らすために利尿剤が使用されます。「血圧の薬を飲むと、おしっこが近くなる」というのは、多くは利尿剤の作用だと考えられます。以前は、高血圧の治療薬も種類が少なく、利尿薬の活躍の場も多かったのですが、近年では治療法も増えて、利尿薬単独の治療は少なくなっています。

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高血圧の話4

生活習慣で、血圧を上げないようにするには、飲酒と喫煙の問題もあります。まず、飲酒ですが、大量の飲酒は高血圧のみでなく、脳卒中、心疾患、睡眠時無呼吸などを引き起こすといわれています。しかし高血圧患者においては、少量の飲酒は心血管病のリスクを軽減する、という報告もあり、そのメカニズムとともに、今後の検討対象といわれています。少量の具体的量ですが、エタノールで男性20~30mL(およそ日本酒1合、焼酎半合弱、ウィスキー・ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱)/日以下が一般的です。喫煙に関しては、別項目(禁煙について)でも書いていますが、これは癌だけでなく、冠動脈疾患、高血圧等の強力な危険因子であり、その影響は、本人だけでなく、周囲にも及ぼされるという報告があり、高血圧治療では、禁煙も重要であるという考えが一般的です。

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高血圧の話3

高血圧の運動療法というのは、以前から言われていたことですが、具体的にはどのようにしたらよいのでしょうか。有酸素運動(水泳やウォーキング等)の有用性は降圧効果だけではなく、体重・体脂肪の減少・インスリン感受性の改善(糖尿病の改善)・血清脂質の低下が指摘されています。ただし、やたら運動をすればよいわけではなく、すくなくとも一回10分以上で、一日の合計30分以上の有酸素運動がすすめられています。運動の強度や時間が強すぎたり、長すぎたりしますと、高血圧症のかたでは、運動中の血圧上昇が激しすぎて、同じような運動をしている正常血圧のかたより、寿命が短い、という報告もあります。何事も、やりすぎ、頑張りすぎはよくないということも、知っておいてください。

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高血圧の話2

高血圧の治療には、様々な生活習慣の改善が、必要となります。生活習慣の改善は、軽度の降圧が期待されるばかりでなく、降圧薬の作用増強や、減量の助けとなります。その一つに減塩があります。減塩の目安としては、欧米のガイドラインで6g/日あるいはそれ以下、WHOのガイドラインでは5g/日未満とされています。しかし日本人はもともと塩分摂取が多く、(10g/日以上)このため、日本の最新のガイドラインでは、欧米と同じく6g/日を目標としています。なかなか厳しいラインですが、日本高血圧学会減塩委員会のレシピなどが、参考になると思われますので、のぞいてみてください。また、野菜・果物・低脂肪乳製品も、血圧を下げる意味では、必要とされています。次回は運動について書いてみたいと思います。

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高血圧の話1

最新の高血圧治療ガイドでは、治療対象となる高血圧は、全年齢で、140mmHg/90mmHg以上の高血圧症患者といわれています。これに血圧の数値と血圧以外の危険因子、高血圧性の臓器障害の有無によって、低リスク・中等リスク・高リスクに分けられ、治療が決定されます。危険因子としては、年齢・喫煙歴・脂質代謝異常・肥満・糖尿病などがあげられ、臓器障害としては脳・心臓・腎臓・血管の硬化・眼底での所見があげられます。具体的にどのような治療が選択されるかというと、低リスク群では、3か月生活習慣を改めるようにしても、血圧が140mmHg/90mmHgを切らない場合に降圧剤投与、とされています。中等リスク群の場合でも1か月の改善努力で血圧が下がらなければ降圧剤、高リスク群ではただちに降圧剤治療とされています。低リスク群は血圧140~159mmHg/90~99mmHgで危険因子がない群とされていますが、実際に薬を使わないでどのように血圧を下げるようにするかというのは次回に書こうと思います。

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